聴くもの全てに癒しを与える 究極のヒーリング・マザーボイス。
ひとりのアーティストの歌声が静かな話題を呼んでいる。青森は下北半島に在住
するシンガー、mammySinoは、地元での生活を営みながら音楽活動を続けている
。一児の母親である彼女は、出産を契機にそれまで活動していた東京を離れ、生まれ故郷である下北半島に居を構えた。育児のためにしばらく音楽活動から離れていたものの、周囲のスタッフや家族からの後押しもあり、CaravanやSpinna
B-
illを輩出したレーベル、アーロンフィールドより新たなスタートをきることとなった。
透明感を持ちながら、静かな情熱を感じさせる歌。シンプルだけれど暖かみのあ
るオーガニックなアレンジメント。6月に発売された前作『ココロノウタ』は、
彼女が愛し、なじみを持って聴いてきた英米のスタンダード・ナンバーのカヴァ
ーで構成されていた。レコーディングは、レギュラーメンバーのナオヤG(パー
カッション)とタバタカズト(ギター)に加え、Caravanや伊賀航(ウッドベー
ス)、YANCY(オルガン)といったゲスト・アーティストと呼吸を感じながら作業を進めていった。
そしてこのたび発売されるアルバム『mothertvoice』は、『ココロノウタ』の反響を受けて、スペシャル・サプライズ盤として発売される作品だ。mammySinoという名義以前に活動していた時代の作品を中心にコンパイルされ、カヴァーを中心に構成されていた前作を経て、オリジナル作品を聴きたいという声に応えるような内容となっている。「これからも歌っていきたい曲を厳選した」という通り、現在の彼女の音楽活動にとって重要な曲ばかりだ。オープニングを飾る「Amazing
Grace」は『ココロノウタ』収録の「DANNY BOY」の制作時にレコーディングされていた、唯一のカヴァー曲。他にも「Silent
Voice」は活動休止前の日本語によるバンド・バージョン、そしてmammySinoとして新たにレコーディングされた英語詞によるアコースティック・バージョンが収められていて興味深い。
下北半島のゆったりとした時間で育まれた歌から感じられるのは、天性の音楽的
感性と同時に、世界にある哀しみを感じながらも、愛するもののために歌おうと
する力だ。それは単なる"和み"ではないヒーリング・ミュージックとして私たち
の胸を揺さぶる。
Text:駒井憲嗣 |